排水処理施設にとって、汚泥処理は大きな課題です。特に小規模施設では、限られたスペースや予算の中で効率的な処理が求められます。そこで注目されているのが、設置面積が小さく、操作性の高い『小型汚泥脱水機』です。
この記事では、小型汚泥脱水機をおすすめする理由から、脱水機の選び方、おすすめメーカーまで詳しく解説します。排水処理の負担を軽減し、施設運営を効率化したい方は必見です。
汚泥脱水とは？
汚泥脱水とは、下水処理や産業排水処理などで発生する汚泥から水分を取り除き、固体化させる処理方法です。処理前の汚泥は水分が多く体積が大きいため、そのまま処理しようとすると、運搬や処分に多くのコストがかかります。
汚泥脱水は、以下の2つの目的で実施されます。
- コスト削減
- 環境負荷軽減
汚泥は、90％以上が水分で構成されています。そのため、そのまま処理しようとすると、運搬や処分に多くのコストがかかってしまうのです。
そこで汚泥脱水機によって含水率を低減することで、処理量を大幅に減らすことができ、運搬や処分のコストを大幅に削減が可能です。
汚泥脱水によって処理された汚泥は、体積が小さくなり、安定化されます。そのため、最終処分においても、環境負荷を軽減できます。
汚泥脱水機導入のメリット
汚泥脱水機の導入は、小規模排水処理施設の運営に多大なメリットをもたらします。効率的な汚泥処理は、施設の運営コスト削減から環境保護まで、幅広い利点を生み出します。ここでは、汚泥脱水機導入によってもたらされる主要な以下3つのメリットについて詳しく解説します。
これらのメリットを理解することで、施設運営の最適化と持続可能性の向上につながります。
コストと労力の大幅削減
汚泥脱水機の導入により、処理コストと作業労力を大幅に削減できます。脱水処理によって汚泥の容積が大きく減少するため、保管や運搬にかかる費用が抑えられるのです。
また、含水率の低下により汚泥の重量も軽減されるので、処分費用の削減にもつながります。さらに、自動化された脱水プロセスにより、人手による作業が減少し、労務費の削減と作業時間の短縮が実現します。
これらの要因が相まって、長期的には設備投資以上の経済的メリットをもたらすことが期待できるでしょう。
環境負荷の軽減と処理効率の向上
汚泥脱水機の使用は、環境保護と処理効率の両面で大きなメリットがあります。脱水処理により汚泥の量が減少するため、最終処分場への負荷が軽減され、環境への悪影響を最小限に抑えることが可能です。
また、脱水された汚泥は取り扱いが容易になるため、リサイクルや有効利用の可能性が広がります。処理効率の面では、高性能な脱水機によって短時間で大量の汚泥を処理できるようになり、施設全体の処理能力が向上します。
結果として、突発的な汚泥増加にも柔軟に対応できるようになるでしょう。
衛生管理と作業環境の改善
汚泥脱水機の導入は、衛生管理の向上と作業環境の改善に大きく貢献します。脱水処理によって汚泥の含水率が低下すると、悪臭の発生が抑制され、細菌の繁殖も抑えられるのです。これにより、施設全体の衛生状態が向上し、周辺環境への配慮にもつながります。
また、自動化された脱水プロセスにより、作業者が直接汚泥に触れる機会が減少するため、作業の安全性が高くなります。さらに、コンパクトな脱水汚泥は取り扱いが容易なため、作業者の身体的負担が軽減され、より快適で効率的な作業環境が実現するでしょう。
汚泥脱水機導入のデメリット
汚泥脱水機の導入には、多くのメリットがある一方で、いくつかの課題や懸念事項も存在します。小規模排水処理施設にとっては、これらのデメリットを十分に理解し、適切に対処することが重要です。ここでは、汚泥脱水機導入に伴う主要な以下3つのデメリットについて詳しく解説します。
これらのデメリットを認識し、適切に対策を講じることで、より効果的な導入と運用が可能になります。
経済的負担の増加
汚泥脱水機の導入には、相当な初期投資が必要です。高性能な脱水機は高価であり、特に小規模施設にとっては大きな経済的負担となる可能性があります。
また、導入後も継続的な運転・維持管理コストがかかります。電力消費、定期的なメンテナンス、消耗品の交換などによる経費が発生し、施設の運営予算を圧迫する可能性があるでしょう。
これらの経済的負担は、長期的には削減効果によって相殺される可能性がありますが、短期的には施設の財務状況に影響を与えます。
技術的・運用上の課題
汚泥脱水機の適切な運転とメンテナンスには、ある程度の専門知識と技術が必要です。これは、既存のスタッフに新たな技能習得を求めるか、専門家の雇用や外部委託を検討する必要があるでしょう。
また、脱水機の設置には適切なスペースが必要です。既存の施設では、このスペースの確保が難しい場合があり、レイアウトの変更や増築が必要になる可能性があります。
これらの課題は、導入前の十分な計画と準備、そして導入後の継続的な教育と管理体制の構築によって対処できます。
環境への潜在的影響
汚泥脱水機の稼働は、騒音や振動を発生させる可能性があります。これらは、周辺環境や作業環境に悪影響を与える可能性があり、適切な対策が必要です。
また、一部の脱水方式では凝集剤などの薬品を使用します。これらの薬品の使用と処理には、環境への配慮が必要です。不適切な使用や処理は、新たな環境問題を引き起こす可能性があります。
これらの環境への影響を最小限に抑えるためには、適切な設置場所の選択、防音・防振対策、そして環境に配慮した薬品の選択と適切な管理が重要となります。
小規模排水処理施設には、小型脱水機がおすすめ
小規模排水処理施設にとって、限られたスペースや予算の中で効率的な汚泥処理は大きな課題となります。従来の脱水機は大型で設置スペースが大きく、操作も複雑なため、小規模施設には導入が難しい場合がありました。
そこで注目されているのが、『小型汚泥脱水機』です。近年の小型脱水機は、コンパクトな設計ながらも処理能力を維持した、パフォーマンスの高いモデルが多く展開されています。
小規模施設にとって、最適なソリューションとして導入をおすすめします。
汚泥脱水機の選び方
汚泥脱水機を新しく導入、入れ替えを検討している方は下記の点にポイントを確認しましょう。
それぞれのポイントを詳しく解説します。
脱水方法を確認
汚泥脱水機には、真空脱水、遠心分離、加圧ろ過など他にも様々な脱水方法があります。それぞれの特徴を理解した上で、処理したい汚泥や施設の状況に合った方法を選択することが重要です。
検討するメーカーの担当の方に、汚泥の状態や種類を確認してもらい、最適な脱水方法を提案してもらいましょう。
サイズを確認
汚泥脱水機のサイズは、処理能力や脱水方法によって異なるのが特徴です。処理施設のどのスペースに置くかは、脱水機のサイズや設置条件によって異なります。サイズを選ぶ際には、処理したい汚泥量、設置スペース、メンテナンス性などを考慮する必要があります。
メーカーに問い合わせる前に、あらかじめ調査しておくようにしましょう。
脱水機の能力を確認
汚泥脱水機の能力は、処理能力と含水率の2つの指標で確認する必要があります。
処理能力とは、1時間あたりに処理できる汚泥の量です。処理したい汚泥量に合った処理能力を持つ脱水機を選ぶ必要があります。
含水率とは、汚泥から水分を除去した後の固形分濃度の割合です。含水率が低いほど、処理後の汚泥の水分量が少なくなり、運搬や処分が容易になります。
小規模施設における小型脱水機の処理能力目安
実際に、小型汚泥脱水機を導入しようと検討されている方は、工場における1日の汚泥処理量を確認しておきましょう。
基本的に、1日の汚泥処理量が5㎥程度の小規模施設では、処理能力が3～5kgDS／h前後の小型汚泥脱水機で十分な処理能力を確保できると言われています。
近年の小型汚泥脱水機は、コンパクトながらも処理能力の高い、優秀なものが多いです。小型の汚泥脱水機の種類が豊富にあるメーカーであれば、汚泥の種類に合わせて最適な汚泥脱水機を選ぶこともできるでしょう。
取り扱い・メンテナンスを確認
汚泥脱水機は、安全性と効率性を維持するために、定期的なメンテナンスが必要です。そのため、メーカーのメンテナンス体制だけでなく、ユーザー自身による日常的な取り扱いやすさも重要です。
信頼できるメーカーは、定期点検の迅速な対応はもちろん、万が一の故障発生時にも迅速な修理対応や必要な部品の供給を行い、ユーザーの不安を解消してくれます。さらに、技術力のあるサービススタッフによるサポートは、ユーザーの技術向上にも貢献するなどしっかり確認しておくメリットは大きいです。
メーカー毎に異なるアフターサービスを確認
汚泥脱水機は、導入後のアフターサービスも重要なポイントです。メーカーによってサービス内容は異なるため、導入前にしっかりと確認しておくことが重要です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 定期点検 | ・頻度 ・点検内容 ・費用 |
| 修理対応 | ・対応スピード ・費用 ・部品供給スピード |
| 技術的サポート | ・サポート体制（電話対応、メール、訪問） |
定期点検や修理対応、サポート体制を確認することで、導入後のトラブル発生時にも焦らず対応できます。
おすすめの汚泥脱水機メーカー3選
本記事の最後には汚泥脱水機のおすすめメーカー3社を紹介します。
各社の特徴を紹介しますので、最適なメーカーを選ぶ参考にしてください。
アムコン株式会社
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | アムコン株式会社 |
| 住所 | 神奈川県横浜市港北区新羽町1926 |
| 電話番号 | 045-540-8585 |
| 公式サイト | https://www.amcon.co.jp/ |
アムコン株式会社は、1974年に創業し、排水処理施設や団地の浄化槽メンテナンス事業。スタート。その後、事業を拡大し、現在は水処理装置、汚泥処理装置、水処理用薬品などの製造・販売を行う、水環境のスペシャリストとしてグローバルに展開しています。
アムコン株式会社の代表的な製品である『ヴァルート』は、世界77の国と地域で納入されている、高い評価を得ている汚泥脱水機です。
豊富な実績と技術力を持つアムコン株式会社は、最適な汚泥脱水機の選定から導入後のサポートまで、トータルでサポートしてくれる信頼できるメーカーです。
アムコン株式会社について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
積水アクアシステム株式会社
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | 積水アクアシステム株式会社 |
| 住所 | 大阪市北区大淀中1丁目1番30号 |
| 電話番号 | 06-6440-2525 |
| 公式サイト | https://www.sekisuia.co.jp/ |
積水アクアシステム株式会社は、水処理設備の設計・施工・メンテナンスまで一貫して対応するトータルソリューション企業です。
積水アクアシステム株式会社は、50年以上の豊富な経験と実績を持ち、国内外で数多くの水処理設備を納入してきました。
プラント・インフラ事業とタンクシステム事業の2つの事業部を擁し、水処理に関する幅広い技術とノウハウを持っています。積水アクアシステム株式会社について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
株式会社ヘリオス
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社ヘリオス |
| 住所 | 東京都品川区北品川3-6-9 |
| 電話番号 | 03-5715-1541 |
| 公式サイト | https://www.kk-helios.co.jp/ |
株式会社ヘリオスは、1982年に創業、汚泥脱水機をはじめとする環境設備の製造・販売を行う企業です。40年以上の豊富な経験と技術力に基づき、お客様のニーズに最適なソリューションを提供しています。
ヘリオスの脱水機は、省エネルギー設計を採用することで、ランニングコストを大幅に削減できます。また安定した脱水能力も特徴の一つです。長時間の連続運転にも対応しており、高い信頼性を誇ります。
株式会社ヘリオスについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
小規模施設では、限られたスペースや予算の中で効率的な汚泥の処理が求められます。そこで有効なのが、今回紹介した小型の汚泥脱水機です。
近年の小型脱水機は、コンパクトな設計ながらも処理能力を維持した、パフォーマンスの高いモデルが多く展開されています。小規模施設にとって、最適なソリューションとして導入をおすすめします。
小型脱水機の導入を検討する際は、まずはメーカーに、現在の困りごとや解決してほしいことを相談してみましょう。
