汚泥脱水機の仕組みとは?汚泥処理の流れや用語まで解説

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汚泥脱水機は、汚泥から水分を排出して産業廃棄物として扱われる汚泥の処分量を減らせる非常に便利な装置です。汚泥処理コストの削減や環境負荷の低減などから、ニーズの高い分野とされています。

主に小規模事業場や大型商業ビル、養豚原水などで使われており、導入先に適した汚泥脱水機を選定できれば大幅なコスト削減が可能です。

しかし、汚泥脱水機は導入費用が高く、会社選びを間違えると大きな損失になってしまうため注意する必要があります。しっかりと汚泥脱水機の仕組みを理解した上で、会社選びをすることが大切です。

  • 汚泥処理の流れを知りたい
  • 汚泥脱水機の仕組みについて知りたい

これから汚泥脱水機の導入を検討している方の中には、上記のような情報を求めている人も多いはず。

そこで本記事では、汚泥脱水機の仕組みについて解説します。あわせて、汚泥処理の流れやおすすめの汚泥脱水機メーカーまで解説しているためぜひ参考にしてください。

目次

汚泥処理の流れ

まずは、汚泥処理の流れを見ていきましょう。汚泥処理は一般的に以下の流れで行います。

  • 汚泥濃縮
  • 汚泥貯留槽への貯留
  • 汚泥脱水機による脱水
  • 脱水ケーキの処分

まず汚泥濃縮では、最初沈殿池と最終沈殿池で沈んだ汚泥を集め、重力濃縮して汚泥量を減らします。次に、濃縮された汚泥は脱水するまで汚泥貯留槽へ貯留されます。

脱水の際には、汚泥貯留槽から送られてくる濃縮された汚泥に凝集剤を加え、汚泥脱水機で脱水していきます。脱水された汚泥は汚泥ホッパーへ送られ、トラックに積み込み場外に搬出して終了です。

汚泥処理を効率的に行うには、処理する汚泥に適した凝集剤と汚泥脱水機を選定できるかどうかが重要になります。

汚泥脱水機の特徴

汚泥脱水機は、産業廃水や下水処理において重要な役割を果たす装置です。この機器は、液体と固形物を効果的に分離し、汚泥の容積を大幅に減少させる能力を持っています。主な特徴は以下です。

これらの特徴により、汚泥脱水機は様々な産業分野で広く活用されています。高い脱水効率によって処理後の汚泥の含水率を大幅に低下させ、多様な種類の汚泥に対応することで幅広い用途に適用できます。さらに、コンパクトな設計により、限られたスペースでの設置が可能となり、既存の施設にも容易に導入できる利点もあるのです。

高い脱水効率

汚泥脱水機の高い脱水効率は、処理後の汚泥の含水率を大幅に低下させる能力を指します。最新の技術を駆使することで、従来の方法と比較して20-30%も高い脱水率を達成できるでしょう。

これにより、処理後の汚泥の体積が大幅に減少し、廃棄物の量を削減できます。高効率脱水は、処理コストの低減、運搬効率の向上、最終処分場の寿命延長など、多くの面でメリットです。

環境負荷の軽減にも貢献し、持続可能な廃水処理を実現する上で重要な役割を果たしています。

多様な汚泥に対応

汚泥脱水機の優れた特徴のひとつが、多様な種類の汚泥に対応できる柔軟性です。産業廃水、下水、食品加工廃棄物など、様々な源泉から生じる汚泥に適用できます。

粘度、固形物含有量、pH値などが異なる汚泥に対しても、適切な前処理や装置の調整により効果的な脱水処理が可能です。この多様性への対応力は、一つの施設で複数の汚泥タイプを処理する必要がある場合や、処理対象の汚泥性状が時期によって変動する場合に特に重要となります。

コンパクトな設計

汚泥脱水機のコンパクトな設計は、限られたスペースでの設置を可能にする重要な特徴です。従来の大型装置と比較して、床面積を50%以上削減できる機種も存在します。

この省スペース性により、既存の処理施設への後付けや、狭小地での新規導入が容易になるのです。また、装置のモジュール化により、必要に応じて処理能力を柔軟に拡張できる利点もあります。

コンパクト設計は、設置コストの低減や施設レイアウトの最適化にも貢献し、効率的な廃水処理システムの構築を支援します。

汚泥脱水機に関する用語集

ここでは、汚泥脱水機に関する用語を紹介します。汚泥処理には専門用語が多く、会社のHPを見ても内容が分かりにくいことがあるため、ぜひ参考にしてください。

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用語意味
汚泥事業活動によって発生した泥状の廃棄物
有機汚泥と無機汚泥に大別される
含水率脱水した汚泥の中にどれくらいの水分が含まれているのかを重量で示す
一般的に数値が低い方が良い
脱水ケーキ汚泥を脱水処理した際に発生するペースト状のもの
フロック凝集剤によって集められたかたまり状の沈殿物
凝集剤液体の中に分散した物質を集めて塊にするために使用される薬品
無機凝集剤と有機性高分子凝集剤がある
固液分離液体の中に分散している固形物を液体と分離すること

汚泥脱水機の仕組み

いよいよ、汚泥脱水機の仕組みを見ていきましょう。汚泥脱水機は主に以下の3つで構成されています。

  • 凝集部
  • 濃縮部
  • 脱水部

それぞれの工程について以下で詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。

凝集部

まず凝集部では、凝集剤を用いて汚泥を固液分離しやすい形(フロック化)にします。この工程で汚泥の含水率を低下させることが可能です。

しかし、まだ固形物と水分が混ざり合った状態のため、より含水率を下げるために濃縮部に送ります。凝集を効率的に行うためには、汚泥にあった凝集剤を使用することが重要です。

濃縮部

濃縮部では、汚泥をろ過することで余分な水分である『ろ液』を排出します。凝集部でフロック化させた汚泥はまだ固形物と水分が混ざった状態です。

そのため、砂ろ過や加圧浮上分離、沈殿分離などの工程を通して、最終的にろ液と脱水ケーキに分けられるようにろ過していきます。ろ過された汚泥は脱水部へ運ばれます。

脱水部

脱水部では、固形物が取り除かれたフロックに圧力をかけて脱水ケーキにして排出します。『凝集部』、『濃縮部』、『脱水部』の3つの工程を経て、汚泥をろ液と脱水ケーキに分けるというのが汚泥脱水機の仕組みです。

汚泥脱水機にはベルトプレス式やスクリュープレス式などの種類があり、脱水の工程は機械やメーカーによって多少異なります。現在扱っている汚泥の種類によって最適な汚泥脱水機が異なるため、汚泥に合わせて会社選びをしてみましょう。

汚泥脱水機のメリット

汚泥脱水機の導入は、多くの企業や自治体にとって大きなメリットをもたらします。主なメリットは以下3つです。

汚泥の容積を減少させることで、処理や廃棄にかかるコストを大幅に削減できます。また、含水率を下げることで、汚泥の運搬や保管が容易になり、関連する作業の効率化につながります。

さらに、適切な処理により環境への負荷を軽減し、持続可能な事業運営に貢献します。これらのメリットは、長期的な視点で見た場合、企業の競争力向上や環境保護にも大きく寄与します。

処理コストの削減

汚泥脱水機の導入により、処理コストを大幅に削減できます。脱水処理によって汚泥の体積が減少するため、運搬や最終処分にかかる費用が低減されます。

例えば、含水率を80%から50%に下げることで、処分量を約60%削減できる場合もあるほどです。また、化学薬品の使用量も最適化され、薬剤コストの削減にもつながります。

長期的には、設備投資コストを上回る経済的メリットが得られ、企業の競争力向上に寄与します。さらに、処理効率の向上により、人件費や運転コストの削減も期待できるでしょう。

環境負荷の低減

汚泥脱水機の使用は、環境負荷の大幅な低減につながります。脱水処理により汚泥の体積と重量が減少するため、運搬時の CO2 排出量が削減されるのです。また、最終処分場への負荷も軽減され、処分場の寿命延長に貢献します。

さらに、適切な脱水処理により有害物質の流出リスクが低減され、地下水や土壌の汚染防止にも効果があります。再利用可能な水分の回収により、水資源の有効活用も促進されされます。これらの効果により、企業の環境パフォーマンスが向上し、持続可能な事業運営の実現が可能です。

運搬・保管の効率化

汚泥脱水機による処理は、運搬・保管の効率を大幅に向上させます。脱水後の汚泥は体積が減少し、含水率が低下するため、取り扱いが容易です。これにより、運搬車両の積載量が増加し、輸送回数を削減できます。

例えば、脱水により体積が1/3に減少すれば、運搬コストも同様に削減可能です。また、保管時の漏出リスクが低減され、より安全な管理が可能になります。

長期保管の際も、腐敗や悪臭の発生が抑制されるため、周辺環境への影響を最小限に抑えられます。これらの効果により、全体的な処理プロセスの最適化が実現します。

汚泥脱水機のデメリット

汚泥脱水機には多くの利点がありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。主なデメリットは以下の通りです。

高性能な汚泥脱水機の導入には相当な初期投資が必要となり、中小企業にとっては大きな負担となる可能性があります。また、効率的な運用を維持するためには定期的なメンテナンスが不可欠であり、これには時間とコストがかかるでしょう。

さらに、脱水プロセスにはある程度のエネルギーを必要とするため、電力消費量の増加につながる可能性があります。これらのデメリットを考慮し、導入の際は慎重に検討しましょう。

初期投資コストが高い

汚泥脱水機の導入には、高額な初期投資が必要となります。装置の規模や性能によっては、数千万円から数億円の費用がかかる場合もあるでしょう。この高コストは、特に中小企業にとって大きな障壁となり得ます。

また、関連設備の整備や施設の改修なども必要となる場合があり、総合的な導入コストはさらに膨らむ可能性があります。ただし、長期的には処理コストの削減やエネルギー効率の向上によって投資回収が可能です。

企業は慎重な費用対効果分析を行い、自社の規模や処理量に適した機器を選択する必要があります。

定期的なメンテナンスが必要

汚泥脱水機の効率的な運用には、定期的なメンテナンスが不可欠です。フィルターの交換、ベルトの調整、軸受けの潤滑など、様々な保守作業が必要となります。これらの作業には専門知識と技術が要求され、外部業者への委託や社内での技術者育成が必要となる場合があるでしょう。

メンテナンス不足は性能低下や故障の原因となり、予期せぬ運転停止につながる可能性もあります。また、消耗品の交換や定期点検にかかる費用も必要です。

適切なメンテナンス計画の立案と実行が、装置の長寿命化と安定運転の鍵となります。

エネルギー消費量の増加

汚泥脱水機の運転には一定量のエネルギーを必要とし、これは電力消費量の増加につながります。特に高性能な脱水を行う場合、エネルギー消費量は更に増加する傾向にあります。例えば、大型の遠心分離機では、1時間あたり数十kWhの電力を消費する場合も。

この増加したエネルギーコストは、運営費用全体に影響を与える可能性があります。ただし、最新の省エネ技術の採用や運転方法の最適化により、消費電力を抑制することも可能です。

企業は、エネルギー効率と処理効率のバランスを考慮し、最適な運用方法を模索する必要があります。

おすすめの汚泥脱水機メーカー3選

ここでは、おすすめの汚泥脱水機メーカー3選を紹介します。今回紹介するのは以下の3社です。

  • アムコン株式会社
  • 積水アクアシステム株式会社
  • 株式会社ヘリオス

それぞれのメーカーの特徴を以下で詳しく解説していきます。

アムコン株式会社

出典元:アムコン株式会社
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項目詳細
会社名アムコン株式会社
所在地神奈川県横浜市港北区新羽町1926
設立年月日1974年11月
公式サイトhttps://www.amcon.co.jp/

1つ目のおすすめメーカーは、アムコン株式会社です。アムコン株式会社は約50年の歴史を持ち、汚泥処理関連装置の開発・製造・販売を行っています。

独自の汚泥処理脱水機を生み出した日本初の企業として知られ、優れた開発力を持っていることが特徴のひとつです。世界で約5,000台の豊富な実績を誇っており、安心して依頼できる会社といえます。

購入前のサンプルテストによって、導入先の汚泥がアムコンの脱水機で脱水可能なのか調べることが可能です。導入後に後悔することをなくせます。

アムコン株式会社について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

積水アクアシステム株式会社

出典元:積水アクアシステム
スクロールできます
項目詳細
会社名積水アクアシステム株式会社
所在地大阪府大阪市北区大淀中1丁目1番30号 梅田スカイビルタワーウエスト21階
設立年月日昭和39年3月
公式サイトhttps://www.sekisuia.co.jp/

2つ目のおすすめメーカーは、積水アクアシステム株式会社です。

1964年に積水化学グループのエンジニアリング会社として発足。水処理、プラント、公共インフラなど様々な分野でトータルソリューションをお客様に提供しています。

ろ布式汚泥脱水機の老舗メーカーであり、他にもベルトプレス、スクリュープレスとラインナップの豊富さも魅力です。

積水アクアシステム株式会社について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

株式会社ヘリオス

出典元:株式会社ヘリオス
スクロールできます
項目詳細
会社名株式会社ヘリオス
所在地東京都品川区北品川3-6-9 Ubiz品川
設立年月日1982年2月
公式サイトhttps://www.kk-helios.co.jp/

3つ目のおすすめの会社は、株式会社ヘリオスです。株式会社ヘリオスは約40年の歴史を持ち、ヘリオス脱水機の製造・販売を行っています。

脱水機の製造や販売にとらわれず、脱水処理関連の解析を行い総合的なコスト削減の提案をしていることが特徴です。脱水テスト車で現地デモテストができ、実際に顧客の汚泥を脱水しているところを見学できます。

また、汚泥脱水機のレンタルもしており、汚泥供給ポンプや凝集剤供給ポンプなどの付帯機器も全てセットでレンタル可能です。急なトラブルや汚泥量の増加にも対応できます。

株式会社ヘリオスについて詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

本記事では、汚泥脱水機の仕組みや汚泥処理の流れ、おすすめの汚泥脱水機メーカー3選を解説しました。効率的な汚泥処理を行うためには、本記事でも紹介したように、現在扱う汚泥に適した汚泥脱水機と凝集剤を選定することが重要です。

これから汚泥脱水機の導入・切替を検討している方は、扱う汚泥と脱水機・凝集剤の相性を考えて製品を選んでみてください。また、本記事で紹介したおすすめの汚泥脱水機メーカーはどれも信用できる会社です。

会社選びに悩んでいる方はぜひ一度相談してみましょう。本記事があなたのお役に立てれば幸いです。

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