汚泥脱水機と共に使用される凝集剤は、汚泥脱水において非常に重要な役割を担っています。一般的に、通常の汚泥を脱水するには前処理を行う必要があり、その前処理方法のひとつが凝集剤を使用した薬品凝集です。
汚泥処理を効率的に行うためには、汚泥脱水機だけでなく凝集剤についても深く知っておく必要があります。しかし、凝集剤は種類が豊富であり、難しいと感じる方も少なくないでしょう。
- 凝集剤にはどのような種類があるのか知りたい
- 凝集剤の選定がなぜ重要なのか知りたい
中には、上記のような情報を求めている人もいるはず。
そこで本記事では、凝集剤の種類について解説します。あわせて、凝集剤の選定が重要な理由やおすすめの汚泥脱水機メーカーについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
凝集剤の選定が重要な理由
凝集剤の選定が重要な理由は、凝集剤を使用した前処理がうまくできるかどうかで脱水効率が大きく変わるためです。凝集剤には多くの種類があり、特定の汚泥には効果的であっても、他の汚泥には効果がない凝集剤もあります。
また、ベルトプレス式や加圧式など、脱水機の種類ごとに凝集剤との相性があるため注意が必要です。汚泥に適した汚泥脱水機を選ぶことも重要ですが、汚泥や脱水機に最適な凝集剤を使用できなければ脱水効率は低下します。凝集剤の選定がうまくできれば、日々のランニングコストを大幅に削減できるため慎重に選定しましょう。
凝集剤の2つの種類
ここでは、凝集剤の種類についてみていきましょう。一般的に凝集剤は以下の2つに大別されます。
- 無機凝集剤
- 有機性高分子凝集剤
それぞれ以下で詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
無機凝集剤
無機凝集剤とは、炭素を含まない無機物の凝集剤です。代表的な無機凝集剤は以下の6つです。
- 硫酸アルミニウム(硫酸バンド)
- PAC(ポリ塩化アルミニウム)
- 塩化第二鉄
- ポリ硫酸第二鉄
- 硫酸第一鉄
- 消石灰(水酸化カルシウム)
硫酸アルミニウム(硫酸バンド)やPAC(ポリ塩化アルミニウム)は、無機凝集剤の中でも特に使われている有名な凝集剤です。消石灰(水酸化カルシウム)は、凝集補助剤として使われることが多い凝集剤として知られています。
有機性高分子凝集剤
有機性高分子凝集剤とは、フロックを大きくするために使用される炭素を含んだ凝集剤です。一般的に、高分子凝集剤には以下の3つの種類があります。
- アニオン
- カチオン
- ノニオン
アニオンはフロックの粗大化、カチオンは有機汚泥の濃縮、ノニオンは酸性〜中性の産業廃水の浄化が主な用途です。有機性高分子凝集剤を使用することで効率的な固液分離が可能となり、脱水効率を向上させることができます。
脱水機ごとに適した凝集剤モデル
ここでは、脱水機ごとに適した凝集剤を紹介します。以下に表でまとめているためぜひ参考にしてください。
脱水機のタイプ | 適した凝集剤 |
---|---|
真空脱水機 | 消石灰及び無機凝集剤 |
遠心脱水機 | 高分子凝集剤、高分子凝集剤+無機凝集剤 |
加圧ろ過機 | 消石灰及び無機凝集剤 |
ベルトプレス脱水機 | 高分子凝集剤、高分子凝集剤+無機凝集剤 |
汚泥の種類や性状によっては、他の凝集剤が最適な場合もあるため注意しましょう。
凝集剤が適切か判断する基準
凝集剤が適切か判断したい場合には脱水ろ液の状態を確認することで、ある程度の判断が可能です。まずは、以下の3つに当てはまるかどうかを確認してみましょう。
- 脱水ろ液が濁っている
- 脱水ろ液に粘性がある
- 脱水ろ液中に汚泥が舞っている
上記の3つのどれかに当てはまる場合は、凝集剤が合っていない可能性があります。対策としては、高分子凝集剤の濃度の変更や凝集剤の添加位置を変えてみるといいでしょう。
また、脱水汚泥の供給濃度を変更するという方法もあります。それでも改善されない場合は、依頼した汚泥脱水機メーカーに問い合わせてみてください。
脱水機・凝集剤の選定は会社選びに注意
汚泥脱水機を探す際は、サンプルテストをやってくれる(最適な薬品選定、性能判断をしてくれる)会社に相談しましょう。なぜなら、その汚泥、脱水機に最適な薬品を選定することが汚泥処理が上手くいく上で重要なポイントになるからです。
また、できるだけ実機によるデモテストを行うこともおすすめします。汚泥脱水機を扱う会社の中には、簡易的な試験のみで選定している会社もあります。
しかし簡易的な選定を行うだけの会社に依頼すると、凝集剤の不適合によって脱水性の低下を招く恐れがあるため注意しましょう。実機によるデモテストにも対応している会社に依頼すると安心です。
おすすめの汚泥脱水機メーカー3選
凝集剤について理解したところで、ここからはおすすめの汚泥脱水機メーカー3選を紹介します。今回紹介するのは以下の3社です。
- アムコン株式会社
- 積水アクアシステム株式会社
- 株式会社ヘリオス
それぞれのメーカーの特徴を以下で詳しく解説します。
アムコン株式会社
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | アムコン株式会社 |
所在地 | 神奈川県横浜市港北区新羽町1926 |
設立年月日 | 1974年11月 |
公式サイト | https://www.amcon.co.jp/ |
1つ目のおすすめメーカーは、アムコン株式会社です。アムコン株式会社は約50年の歴史を持ち、汚泥脱水機に特化したサービスを展開しています。
顧客ごとの課題解決のために、汚泥サンプル分析による凝集剤選定や現地での実機テストなどのサービスを用意していることが特徴です。購入前に顧客の汚泥がアムコンの脱水機に適しているかの判断ができるため、効果的な製品の導入ができます。
世界で約5,000台の納入実績を誇るため安心して依頼可能です。
アムコン株式会社について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
積水アクアシステム株式会社
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 積水アクアシステム株式会社 |
所在地 | 大阪府大阪市北区大淀中1丁目1番30号 梅田スカイビルタワーウエスト21階 |
設立年月日 | 昭和39年3月 |
公式サイト | https://www.sekisuia.co.jp/ |
2つ目のおすすめメーカーは、積水アクアシステム株式会社です。
1964年に積水化学グループのエンジニアリング会社として発足した当社の強みはトータルでの対応力です。
要望の丁寧なヒアリングから、ニーズに沿った企画立案、設計、施工やメンテナンスに至るまで、各分野のプロフェッショナルがトータルで対応。事業拡大の経験から培った知識をもとに最適な提案をしてくれます。
積水アクアシステム株式会社について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
株式会社ヘリオス
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社ヘリオス |
所在地 | 東京都品川区北品川3-6-9 Ubiz品川 |
設立年月日 | 1982年2月 |
公式サイト | https://www.kk-helios.co.jp/ |
3つ目のおすすめの会社は、株式会社ヘリオスです。株式会社ヘリオスは約40年の歴史を持ち、ヘリオス脱水機や周辺機器、高分子凝集剤の製造・販売を行っています。
約2,000台の納入実績を誇り、多重円板型脱水機を採用していることが特徴です。株式会社ヘリオスでも脱水テスト車による現地デモテストを実施しています。
実際に顧客の汚泥を脱水しているところを見学できるため、ヘリオスの脱水機が導入先に適しているかどうか判断可能です。
株式会社ヘリオスについて詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
本記事では、凝集剤の種類や凝集剤の選定が重要な理由、おすすめの汚泥脱水機メーカー3選について解説しました。凝集剤は汚泥処理の効率化に重要な影響を及ぼすものです。
そのため、汚泥脱水機だけでなく、凝集剤の選定も考慮して会社選びをしてみましょう。汚泥脱水機を扱うメーカーの中には、簡易的な試験で凝集剤を選ぶところもあります。
後にトラブルにならないためにも、現地デモテストなどのサービスを展開している会社に依頼することがおすすめです。複数の会社を比較して、導入先に最適な製品を扱う会社を見つけてみてください。
本記事があなたのお役に立てることを願っております。