汚泥脱水機は汚泥から水分を排出する装置であり、うまく使いこなせば年間で100万円以上のコスト削減ができる魅力的な機械です。汚泥処理は日々の生活において避けられないもののため、そこにかかる費用を削減できることは企業にとって大きなメリットになります。
しかし、汚泥脱水機にはさまざまな種類があり、扱う汚泥に適した脱水機を選ばなければ効果が薄いというデメリットもあります。汚泥脱水機は普段から触れるような機械ではないため、わからないことも多く頭を抱えている方も少なくないでしょう。
- 汚泥脱水機の種類について詳しく知りたい
- 汚泥脱水機の種類ごとに適した汚泥が何か知りたい
上記のような情報を求めている方もいるはずです。
そこで本記事では、汚泥脱水機の種類について解説します。あわせて、それぞれの機器のおすすめメーカーも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【注意】汚泥には種類が2つある
まずは、汚泥脱水機で扱う汚泥について知っていきましょう。汚泥には基本的に以下の2つの種類があります。
- 有機汚泥
- 無機汚泥
汚泥の種類によって処理方法が異なるため、汚泥についての知識を持っておくことは非常に重要です。それぞれの汚泥の特徴を以下で解説するので、ぜひ参考にしてください。
有機汚泥
まず、有機汚泥とは下水処理や食品工場などの排水時に発生する有機汚濁された汚泥のことです。有機汚泥の代表的なものとしては、以下の4つが挙げられます。
- 活性汚泥法による処理後の汚泥
- パルプ廃液から生ずる汚泥
- その他動植物性原料を使用する各種製造業の廃水処理後に生ずる汚泥
- し尿を含まないビルピット汚泥
簡単にいうと、生活排水や食品工場から出る汚泥が有機性汚泥です。
無機汚泥
無機汚泥は、砂や金属・土・油などの無機物を含んだ汚泥のことです。主に、土木工事現場や金属工場などの施設で発生します。代表的な無機汚泥は以下の5つです。
- 赤泥
- けい藻土かす
- 炭酸カルシウムかす
- 廃白土
- 機械工場や浄水場より発生する凝集汚泥
それぞれの汚泥に適した種類の脱水方法を選ぶことが重要になります。
汚泥脱水機の代表的な6つの種類
いよいよ、汚泥脱水機の種類を見ていきましょう。一般的に、汚泥脱水機には以下の6つの種類があります。
- 遠心脱水機
- フィルタープレス脱水機
- ベルトプレス脱水機
- スクリュープレス脱水機
- 多重円板型スクリュープレス脱水機
- 多重円板脱水機
それぞれの脱水機の特徴を以下で詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
遠心脱水機
遠心脱水機は、遠心力を利用して脱水を行う装置です。回転筒と中のスクリューの回転差で汚泥を搬送して脱水します。
一般的にデカンタ型と直胴型の2種類に大別され、無機汚泥の脱水に有効的な脱水機です。高速回転で連続処理するため処理効率が良く、汚泥の種類を選ばないという特性を持ちます。
しかし、動力が大きく、騒音や振動が大きいことがデメリットです。遠心脱水機を扱っているメーカーとしては、巴工業株式会社がおすすめになります。
巴工業株式会社について詳しく知りたい方は、公式HPも参考にしてみてください。
フィルタープレス脱水機
フィルタープレス脱水機は、ろ布を張った2枚の鋼板やプラスチック板で仕切られた空間内で、汚泥を加圧して脱水する装置です。
高い圧力をかけることにより、他の形式の脱水機に比べてより低い含水率のケーキ状の固体物(汚泥の固形分)を生成できます。機械構造がシンプルなため、比較的簡単に処理量を増加させることが可能です。
代表的な会社としては株式会社マキノが挙げられます。フィルタープレス型の脱水機をメインの汚泥脱水機としており、業界の中でも非常に知名度のある会社です。
株式会社マキノについて詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
ベルトプレス脱水機
ベルトプレス脱水機は2枚のろ布の間に汚泥を挟み、搬送している間に脱水する装置です。高濃度の汚泥に対応でき、生物処理汚泥や凝集沈殿汚泥などの幅広い汚泥種に対応可能です。ベルトプレス脱水機はムラのない低含水率の脱水ができます。
また、連続処理ができるというメリットもあり、大量の汚泥処理に対応可能です。デメリットとしては、ろ布の目詰まりによる処理能力の低下、メンテナンスがめんどくさいということが挙げられます。
一定期間ごとにろ布の交換が必要であったり、処理する汚泥に合わせてろ布の選定や走行速度の調整が必要なため注意しましょう。ベルトプレス脱水機を扱っているメーカーとしては、積水アクアシステム株式会社がおすすめです。
積水アクアシステム株式会社について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
スクリュープレス脱水機
スクリュープレス脱水機は、円筒状のスクリーンとスクリューの間で汚泥を脱水する装置です。円筒状のスクリーンとスクリューの間にある、回転する羽根の押出しによる圧搾力と回転のせん断力を利用します。
機械が自動で洗浄するため、目詰まりしにくい仕組みになっており、有機性汚泥の脱水に有効です。また、低速回転で騒音や振動がほとんどなく、電力コストの削減ができます。
スクリュープレス脱水機を扱っているメーカーとしては、富国工業株式会社がおすすめになります。富国工業株式会社について詳しく知りたい方は、公式HPも参考にしてみてください。
多重円板型スクリュープレス脱水機
多重円板型スクリュープレス脱水機は、可動円板と固定円板の組み合わせで構成されたろ体の中にスクリューが組み込まれた装置です。この装置では、スクリューの回転により汚泥を搬送しながらろ過と脱水を同時に行います。
可動円板が押し上げられることにより、固定円板との間に隙間ができ、その隙間から水が排出され、ろ過と脱水が行われる仕組みです。
多重円板型スクリュープレス脱水機のメリットは、スクリューが回転することによって常に周囲のろ体の可動円板を動かしているため、目詰まりが起こりにくく洗浄が不要なことです。
多重円板型脱水機を扱っているメーカーとしては、アムコン株式会社がおすすめです。アムコン株式会社について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
多重円板脱水機
多重円板脱水機は、圧力や真空を必要としない省エネ性の高い装置です。薄い円板とスペーサーを組み合わせて並べた筒状のろ体を上下に複数配置し、一定方向に回転させて汚泥を搬送する間に脱水します。
振動や騒音・臭気がほとんどなく、目詰まりしにくい構造を採用しているため、メンテナンスしやすいことが大きなメリットです。デメリットは、汚泥の性状によって凝集剤の組み合わせや装置出入り口のろ過体の回転速度を調整しなければならないことが挙げられます。
多重円板脱水機を扱っているメーカーとしては、株式会社ヘリオスがおすすめです。株式会社ヘリオスについて詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
本記事では、汚泥脱水機の種類からそれぞれのおすすめメーカーを紹介してきました。汚泥脱水機には一般的に6つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
そのため、どの脱水機があなたの扱っている汚泥に最適なのかを考慮してメーカー選びをしてみましょう。
汚泥脱水機は初期導入費用が高いからこそ、慎重に脱水機・メーカー選ぶようにしてください。本記事があなたのお役に立てれば幸いです。