「汚泥脱水機の処理能力とは?」
「必要な処理能力の目安は?」
汚泥脱水機には、それぞれ処理能力が決まっています。
適切な処理能力を有する汚泥脱水機を使用しなければ、作業効率が悪くなり、1日のノルマを達成できないこともあるでしょう。
そのため、自社で必要となる汚泥処理量に適した、処理能力を有する汚泥脱水機を選ぶ必要があります。
しかし、必要となる処理能力の目安がわからない方もいるはず。
そこで今回は、汚泥脱水機の処理能力について解説します。施設規模ごとに必要な処理能力の目安や、汚泥脱水機のおすすめメーカーも解説するため参考にしてください。
汚泥脱水機の処理能力
汚泥脱水機の処理能力は、時間当たりの処理量で表され、『kgDS/h』という単位で示されます。この能力は、メーカーごとの技術や工夫により、同じ容量の機械でも異なることがあります。そのため、自社の日々の汚泥発生量を正確に把握し、それに見合った処理能力を持つ脱水機を選択することが重要です。
一般的に、処理能力の増加に伴い脱水機本体のサイズも大きくなります。しかし、必要以上に大きな機械を選ぶと、無駄なコストがかかるでしょう。一方、処理量に適した製品を選べば、不要な部品を省くことができ、初期投資だけでなく、長期的なメンテナンス費用の削減にもつながります。
したがって、自社の需要に最適な処理能力を持つ汚泥脱水機を選定することが、効率的な運用と経済性の両立につながるのです。
処理能力の目安
汚泥脱水機の選定において、施設規模に適した処理能力を把握することは重要です。適切な処理能力の機器を選ぶことで、効率的な運用とコスト最適化が実現できます。
処理能力は施設の規模によって大きく異なるため、慎重な検討が必要です。
ここでは、以下の施設規模ごとに推奨される処理能力の目安を解説します。
上記の情報は、汚泥脱水機の選定において貴重な指針です。自社の施設規模と照らし合わせることで、最適な処理能力を持つ脱水機を見つけることができるでしょう。
適切な処理能力の機器を選択することは、長期的な運用効率と経済性の向上につながります。汚泥脱水機を選ぶ際の参考にしてください。
小規模工場
1日の汚泥処理量が5㎥程度の小規模な工場であれば、処理能力が3~5kgDS/h前後のもので十分です。
そのため、各メーカーの中から最も小型な製品を選ぶといいでしょう。
近年の汚泥脱水機でなら、小型であっても十分な性能備えているため、パフォーマンスが落ちる心配はありません。
スクリュープレスやベルトプレス・多重円盤型・フィルタープレスなど様々な処理方法の機械から選べるでしょう。
中規模工場
1日の汚泥処理量が10㎥程度の中規模な工場であれば、処理能力が12kgDS/h前後のものを選びましょう。
小規模工場向けより少し大型の機械になりますが、その分処理能力が向上するため、作業の効率化が見込めます。
汚泥脱水機の中でも含水率を低くしたい場合はフィルタープレス、メンテナンス費用を抑えたい方はシンプルな構造のスクリュープレスがおすすめです。
自分に合った、脱水機を選びましょう。
大規模工場
1日の汚泥処理量が10㎥を超える下水処理場などの大規模な施設では、処理能力が40kgDS/h・60kgDS/hくらい必要です。
汚泥脱水機の中でも、大型に分類されるものから選ぶことになるでしょう。
なお、1日10㎥を超える汚泥を処理する場合は届出をして、設置や使用などの許可を受ける必要があります。
汚泥脱水機の種類と特徴
ここまでの解説で、自分に合った汚泥脱水機の処理能力は理解できたことでしょう。
しかし、汚泥脱水機には脱水方法や構造の違いによって様々な方式があるため、何を選べばいいのか分からない方もいるはず。
そこで、ここからは下記4種類の汚泥脱水機を紹介します。
それぞれの特徴から、平均的な含水率も合わせて解説するため、汚泥脱水機の導入を検討している方は参考にしてください。
フィルタープレス
フィルタープレス型の脱水機は、ろ布を張った2枚の鋼板やプラスチック板で仕切られた空間の中で、汚泥を加圧して脱水します。
固液分離特性が高いため、他の脱水機と比べて低含水率を実現でき、含水率の目安は55〜65%ほどです。
機械の構造がシンプルなため、比較的簡単に処理量を増やせます。
ただし、ろ布の目詰まりや汚泥の固形分が多いとき、圧力が高すぎて処理しきれない汚泥が漏れ出すなど、トラブルが発生することもあるため注意しましょう。
ベルトプレス
ベルトプレス型の脱水機は、2枚のろ布によって汚泥を挟み込み、圧力をかけることで脱水します。
含水率の目安は、70〜80%ほどです。
低濃度から高濃度、生物処理汚泥や凝集沈殿汚泥など、幅広い汚泥処理に対応しています。
ただし、ろ布が目詰まりすると汚泥があふれ、処理能力や量が減少することもあるでしょう。
そのため、一定期間ごとにろ布の交換が必要となります。
スクリュープレス
スクリュープレス型の脱水機は、細かい穴の空いたスクリーンと回転するスクリューの間を汚泥が搬送されることで、羽根の押出しによる圧搾力と回転のせん断力で脱水します。
含水率の目安は、75~85%ほどです。
機械が自動で洗浄し、目詰まりを防止してくれるため、有機性汚泥に適しています。
また、低速回転のため、騒音や振動がほとんどなく、電力費用の低減が可能です。
ただし、スクリューの羽根による圧搾力とせん断力で脱水する関係上、スクリュー羽根間の汚泥充填度が低くなると脱水力が低下してしまうでしょう。
そのため、汚泥の性質に合わせた凝集剤の選定や注入率、スクリューの回転数などの調整が必要です。
多重円盤
多重円盤型の脱水機は、薄い円板とスペーサーを組み合わせて並べた筒状のろ体を、上下に複数配置し、一定方向に回転させて汚泥を搬送する間に脱水します。
含水率の目安は、78~84%ほどです。
重力と圧搾による脱水原理のため、振動や騒音・臭気がほとんどありません。
また、加圧や真空を必要としないため、省エネルギーで運用できます。
ただし、汚泥の種類によっては、円盤が摩耗してしまう恐れもあるため注意しましょう。
汚泥脱水機の選び方
汚泥脱水機の市場には、様々な種類の脱水機があり、自社に最適なものを見つけるのは難しいです。しかし、適切な機器を選ぶことで、廃水処理の効率化とコスト削減を同時に実現できる可能性があります。
ここでは、汚泥脱水機を選ぶ際の重要なポイントをご紹介します。これらを押さえることで、処理効率の向上や運用コストの最適化といった具体的なメリットが期待できます。
あなたの施設に最適な汚泥脱水機を見つけるため、以下の3つの観点から検討してみましょう。
これらの要素を慎重に吟味することで、長期的に満足度の高い選択ができるはずです。それでは、各ポイントについて詳しく見ていきましょう。
処理性能で選ぶ
汚泥脱水機の選定において、処理性能は最も重要な要素のひとつです。まず、自社の汚泥の特性を把握することから始めましょう。
汚泥の種類、含水率、発生量などによって、最適な脱水機が異なります。例えば、含水率の高い汚泥には高圧型のフィルタープレスが効果的かもしれません。また、処理能力も重要です。
1日あたりの汚泥発生量に対して、十分な処理能力を持つ機種を選ぶ必要があります。さらに、脱水後の含水率も考慮しましょう。より低い含水率を達成できれば、廃棄物の量を減らし、処理コストを削減できます。
処理性能の高い機種は初期投資が高くなる傾向がありますが、長期的な運用を考えると、効率的な処理が可能な機種を選ぶことが賢明です。
コストパフォーマンスで選ぶ
汚泥脱水機の選定では、コストパフォーマンスの観点も欠かせません。ここで考慮すべきは、初期投資だけでなく、長期的な運用コストです。
まず、機器の購入価格を比較しましょう。しかし、安価な機種が必ずしも経済的とは限りません。次に、運転コストを検討します。電力消費量、薬品使用量、消耗品の交換頻度などが重要な要素です。
さらに、メンテナンスにかかる費用も考慮に入れましょう。定期的な点検や部品交換にかかる費用も、長期的には大きな影響を与えます。また、処理効率の高い機種は、廃棄物処理費用の削減につながる可能性があります。
初期投資と運用コストのバランスを取りながら、総合的に最も経済的な選択肢を見つけることが重要です。
設置環境で選ぶ
汚泥脱水機の選定では、設置環境も重要な考慮点です。まず、設置スペースの制約を確認しましょう。コンパクトな機種が必要か、十分なスペースがあるかによって選択肢が変わります。天井高も考慮が必要です。
次に、騒音や振動の問題を検討します。近隣への影響が懸念される場合は、低騒音・低振動タイプの機種を選ぶことが賢明です。また、設置場所の温度や湿度なども機器の性能に影響を与える可能性があります。
さらに、メンテナンス性も重要です。日常点検や部品交換が容易な構造であるか、作業スペースは十分か確認しましょう。電源や配管の位置、排水処理設備との連携なども考慮に入れる必要があります。
設置環境に適した機種を選ぶことで、長期的な運用効率の向上が期待できます。
汚泥脱水機のおすすめメーカー
ここからは、汚泥脱水機のおすすめメーカーとして下記の3社を紹介します。
汚泥脱水機を選ぶ際の、参考にしてください。
アムコン株式会社
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | アムコン株式会社 |
住所 | 神奈川県横浜市港北区新羽町1926 |
電話番号 | 045-540-8585 |
公式サイト | https://www.amcon.co.jp/ |
アムコン株式会社は、1974年に株式会社環境設備センターとして排水処理施設や団地の浄化槽メンテナンスを主な事業として創業した会社です。
現在では汚泥処理関連装置の開発製造販売事業、給排水設備メンテナンス事業、各種分析事業を展開しています。
アムコンが手掛ける汚泥脱水機『ヴァルート』は、日本全国の排水処理施設だけでなく、世界77の国と地域に納入されているほどの実績です。
また、世界15の国と地域に販売代理店を持ち、汚泥処理に関するお悩みをグローバルな知見で解決してくれるでしょう。
アムコン株式会社でなら、あなたに合った製品を提供してくれるでしょう。
積水アクアシステム株式会社
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 積水アクアシステム株式会社 |
住所 | 大阪市北区大淀中1丁目1番30号 |
電話番号 | 06-6440-2525 |
公式サイト | https://www.sekisuia.co.jp/ |
積水アクアシステム株式会社は1964年に設立され、約60年で培った知識と技術力により、きめ細かなサポートを実施している会社です。
工場排水や食品工場を中心に、微生物膜を利用した環境にやさしい排水処理を展開しています。
さらに、独自の微生物製剤を活用した油脂分解処理や高濃度汚泥の減容化などを通じて、排水処理設備の機能改善・能力増強をシステムで提案してくれるでしょう。
全国への導入実績も豊富なため、安心して依頼できます。
株式会社ヘリオス
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社ヘリオス |
住所 | 東京都品川区北品川3-6-9 |
電話番号 | 03-5715-1541 |
公式サイト | https://www.kk-helios.co.jp/ |
株式会社ヘリオスは、脱水機のパイオニアとして創業以来35年間もの長きにわたり、多重円盤型脱水機を販売してきた会社です。
ヘリオスの脱水機は、個液分離・ろ液についての深い考察が生んだ独自技術によって作られた、ユニークな機体となっています。
従来の脱水方法である真空式・加圧式・遠心式のいずれも当てはまらず、ろ布の類は一切使用しませんし、遠心分離のような大きなエネルギーも必要としません。
そのため、消耗品が少なく、コストパフォーマンスが高いです。
ヘリオスでは、脱水機のレンタルも行っているため、気になる方は問い合わせてみてください。
まとめ
今回は、汚泥脱水機の処理能力について解説しました。
汚泥脱水機の処理能力は、時間当たりの処理量で算出され、単位は『kgDS/h』で表します。
適切な汚泥脱水機を選ぶには、自社で処理したい1日の汚泥量を把握し、その量を処理できる脱水機かを確認しましょう。
1日の汚泥処理量ごとの適切な処理能力の目安は下記のとおりです。
1日の汚泥処理量 | 処理能力 |
---|---|
5㎥程度 | 3~5kgDS/h前後 |
10㎥程度 | 12kgDS/h前後 |
10㎥以上 | 40kgDS/h~60kgDS/h |
汚泥脱水機の導入を検討している方は、今回解説した内容を参考にして、自社に適した脱水機を選んでください。