汚泥の含水率とは?含水率の重要性から処分の方法まで解説

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「汚泥の含水率とは?」
「汚泥の含水率を下げるには?」

汚泥とは産業廃棄物の1つで、日本の産業廃棄物の中で最も排出量が多い品目となっています。下水処理や産業活動において発生する汚泥は、水分を多く含んだ複雑な物質です。

そこで、汚泥の含水率を計算することで、その水分量を把握することが可能になります。汚泥の含水率を知ることは、処理や処分方法を決定する上で重要な役割を果たします。

また、汚泥には決まった処理方法があり、汚泥の処理方法は、含水率によって大きく異なります。

そこで今回は、汚泥の含水率について解説します。含水率の重要性から処分の方法までわかりやすく解説しているため、参考にしてください。

目次

汚泥含水率とは

汚泥含水率とは、汚泥中の水分量の割合を重量パーセントで表したものです。一般的に、汚泥の含水率は80〜99%と非常に高く、処理や処分に大きな影響を与えます。

下水処理や産業活動において発生する汚泥は、水分を多く含んだ複雑な物質であり、その水分量は処理や処分方法を決める上で重要な役割を果たします。

含水率は以下の式で計算されます。

含水率 = (汚泥中の水分量 / 汚泥の全重量) x 100 (%)

汚泥含水率における重要な知識

汚泥含水率は、処理や処分に影響を与える重要な指標です。汚泥の処理方法によって費用も変わってきます。

そのため、汚泥の含水率を計算することで、適切な処理方法を選択することが重要です。汚泥含水率における重要な知識は、大きく分けて以下の2つです。

  • 処理・処分方法の選択
  • コスト削減


下記で詳しく説明していきます。

処理・処分方法の選択

汚泥の処理・処分方法は、含水率によって大きく異なります。

スクロールできます
含水率処理方法処分方法処理・処分コスト環境負荷技術的な実現可能性法規制
95-99%濃縮埋立処分緩和
90-95%脱水埋立処分, 焼却処分厳格
70-85%乾燥焼却処分, 資源化厳格
10-20%焼却処分, 資源化厳格

高含水率の汚泥は脱水処理や埋立処分が必要で、低含水率の汚泥は直接焼却処理できる場合があります。

コスト削減

汚泥処理・処分におけるコスト削減は、重要な課題の一つです。含水率を低減することで、処理・処分に伴う様々なコストを削減することが可能です。

処理方法費用
濃縮処理に必要なエネルギーが約5%低減
脱水脱水ケーキの重量が約1%低減
乾燥燃料消費量が約10%低減
処分方法費用
埋立処分必要な土地面積が約1%低減
運搬コスト汚泥の重量が約1%低減
焼却処分燃料消費量が約10%低減

汚泥含水率を低減することは、コスト削減だけでなく、環境負荷の低減にも貢献します。

汚泥含水率を下げるメリット

汚泥含水率を下げることは、排水処理施設の運営に多大なメリットをもたらします。効率的な汚泥処理は、施設の運営コスト削減から環境保護まで、幅広い利点を生み出すのです。ここでは、汚泥含水率を下げることによってもたらされる主要な以下3つのメリットについて詳しく解説します。

これらのメリットを理解し活用することで、施設運営の最適化と持続可能性の向上につながります。

ここからは、それぞれのメリットについて更に深掘りし、詳しく解説していきます。

処理・処分コストの大幅削減

汚泥含水率を下げることで、処理・処分コストを大幅に削減できます。含水率が低下すると汚泥の体積と重量が減少し、運搬や最終処分にかかる費用が軽減されるのです。例えば、含水率を80%から60%に下げると、体積は約半分になります。

これにより、運搬車両の往復回数や処分場での占有スペースが減少し、関連コストが削減されます。また、焼却処理の場合、含水率が低いほど燃料費を抑えることが可能です。長期的には、これらのコスト削減効果が設備投資を上回り、経営効率の向上につながります。

環境負荷の低減と再資源化の促進

汚泥含水率の低下は、環境負荷の低減と再資源化の促進に大きく貢献します。含水率が下がることで、最終処分場への負荷が軽減され、処分場の寿命が延びます。また、運搬車両の往復回数が減ることで、CO2排出量も削減されるでしょう。

さらに、低含水率の汚泥は扱いやすく、肥料や建設資材などへの再利用が容易になります。例えば、セメント原料や緑化基盤材として活用することで、循環型社会の構築に寄与することが可能です。これらの取り組みは、企業のESG評価向上にもつながり、持続可能な経営を支援するでしょう。

輸送・保管効率の向上

汚泥含水率を下げることで、輸送・保管効率が大幅に向上します。低含水率の汚泥は体積が小さく、より多くの量を一度に輸送できるため、輸送効率が上がるのです。これにより、輸送コストの削減だけでなく、交通渋滞の緩和や排気ガスの削減にもつながります。

保管面では、汚泥の占有スペースが減少するため、限られた保管場所を効率的に使用可能です。また、低含水率の汚泥は流動性が低く、取り扱いが容易になるため、作業効率も向上します。これらの効果により、全体的なロジスティクスの最適化が実現するでしょう。

汚泥含水率を下げるデメリット

汚泥含水率を下げることには多くのメリットがある一方で、いくつかの課題や懸念事項も存在します。これらのデメリットを十分に理解し、適切に対処することが重要です。

ここでは、汚泥含水率を下げることに伴う主要な以下3つのデメリットについて詳しく解説します。

これらのデメリットを認識し、適切な対策を講じることで、より効果的な導入と運用が可能になります。

設備投資と運用コストの増加

汚泥含水率を下げるための設備導入には、高額な初期投資が必要です。例えば、高性能な脱水機の導入コストは数千万円に及ぶことも珍しくありません。

また、設備の運用には継続的なコストがかかります。電力消費、薬品費、定期的なメンテナンス費用などが発生し、これらは運営予算を圧迫する可能性があります。

特に小規模事業者にとっては、これらの経済的負担が大きな課題となります。長期的には処理コスト削減効果が見込めますが、投資回収期間が長期化するリスクもあり、慎重な財務計画が必要になるでしょう。

処理時間の延長と効率低下のリスク

汚泥含水率を下げるプロセスは、全体の処理時間を延長させる可能性があります。脱水処理には一定の時間がかかり、特に大量の汚泥を処理する場合、生産性の低下につながることも。

また、脱水効率は汚泥の性状によって変動するため、安定した処理が難しい場合があります。これにより、処理能力の予測が困難になり、効率的な運用計画の立案が難しくなるのです。

さらに、脱水プロセスの導入により、既存の処理フローの変更が必要となり、一時的な効率低下や運用の複雑化を招くリスクも考慮する必要があります。

環境リスクと品質管理の課題

汚泥含水率を下げるプロセスには、環境リスクと品質管理の課題が伴います。脱水処理には凝集剤などの化学薬品を使用することが多く、これらの薬品の取り扱いや排水への影響に注意が必要です。

不適切な使用は水質汚濁などの環境問題を引き起こす可能性があります。また、含水率の低下により汚泥の性状が変化し、従来の処理・利用方法との不適合が生じることもあるでしょう。

例えば、過度の脱水により、汚泥の肥料としての品質が低下する場合があります。これらの課題に対応するためには、厳密な品質管理システムの構築と、環境影響評価の実施が不可欠です。

汚泥含水率の測定方法

汚泥含水率の測定方法は大きく分けて3つあります。

下記で詳しく説明します。

乾燥法

乾燥法は、汚泥含水率を測定する最も基本的な方法です。この方法は、汚泥を一定温度で乾燥させ、水分量と全重量を測定することで含水率を算出します。

乾燥法で測定した含水率は以下の式で計算されます。

含水率 = (W2 – W1) / W2 x 100 (%)

乾燥法は、高い精度により正確に測定することを可能とし、比較的安価でできることがリットがです。一方で、時間と手間がかかるというデメリットもあります。

遠心分離法

遠心分離法は、遠心力によって汚泥中の水分と固形分を分離し、含水率を測定する方法です。乾燥法に比べて迅速かつ簡単であり、実際に現場での測定にも適しています。

遠心分離法で測定した含水率は以下の式で計算されます。

含水率 = (W1 – W2) / W1 x 100 (%)

遠心分離法は、乾燥法に比べて簡単に計算でき、現場での測定に適しているというメリットがあります。一方で、乾燥法に比べて精度が低く、適用範囲が限定されるということがデメリットです。

また、遠心分離機が必要なため、現場での簡易測定や、汚泥処理装置の運転管理などに活用できます。

密度計法

密度計法は、汚泥の密度を測定し、その値から含水率を算出する方法です。乾燥法や遠心分離法よりも簡単であり、現場での測定にも適しています。

密度計法で測定した含水率は以下の式で計算されます。

含水率 = (ρs – ρm) / (ρs – ρw) x 100 (%)

密度計法は、これまでの測定方法の中で最も簡単であり、迅速に行うことが可能なため、現場での対応にも役立ちます。しかし、乾燥法や遠心分離法に比べて精度が低く、密度計を必要とするデメリットがあります。

汚泥含水率を下げる方法

汚泥含水率を下げる方法は、大きく分けて以下の2つがあります。

下記で詳しく説明します。

濃縮

濃縮は、重力沈殿、遠心分離、ろ過などの方法を用いて、汚泥中の水分を除去し、含水率を約90-95%まで低減する方法です。処理後の汚泥は濃縮汚泥と呼ばれ、脱水や乾燥などの処理がしやすくなります。

主な方法は以下の通りです。

スクロールできます
方法特徴
重力沈殿法汚泥を静置し、重力によって固形分と水分を分離する方法。
最もシンプルな方法だが、処理時間が長い。
遠心分離法遠心力によって固形分と水分を分離する方法。
重力沈殿法よりも処理時間が短いが、設備投資が必要。
ろ過法ろ過膜を用いて固形分と水分を分離する方法。
処理時間が短く、高濃度の濃縮汚泥を得られるが、ろ過膜の目詰まりが課題。

脱水

脱水は、遠心分離機やベルトプレス機などの機械を用いて、汚泥中の水分を強制的に除去し、含水率を約70-80%まで低減する方法です。濃縮後の汚泥に適用されます。

主な方法は以下の通りです。

スクロールできます
方法特徴
遠心分離脱水機遠心力によって固形分と水分を分離する方法。
処理能力が大きいが、設備投資が必要。
ベルトプレス脱水機ベルトとローラーで圧力をかけ、水分を絞り出す方法。
処理コストが比較的低いが、処理能力が小さい。
フィルタープレス脱水機滤布を用いて圧力をかけ、水分を絞り出す方法。
高濃度の脱水ケーキを得られるが、滤布の目詰まりが課題。

おすすめの汚泥脱水機メーカー3選

ここからは、汚泥脱水機のおすすめメーカーとして下記の3社を紹介します。

汚泥脱水機を選ぶ際の、参考にしてください。

アムコン株式会社

出典元:アムコン株式会社
項目詳細
会社名アムコン株式会社
住所神奈川県横浜市港北区新羽町1926
電話番号045-540-8585
公式サイトhttps://www.amcon.co.jp/

1つ目におすすめの会社は、アムコン株式会社です。アムコン株式会社は50年以上の歴史を誇り、汚泥処理関連装置を扱っています。

優れた開発力と技術力に定評があることが最大の特徴です。実際に優れた開発力と技術力を活かして、世界で初めて洗浄水のいらない汚泥脱水機を開発しています。

また、購入前にはサンプルテストによって、導入先にアムコンの製品が適しているか判断することが可能です。製品のミスマッチを防げることは大きなメリットといえます。

積水アクアシステム株式会社

出典元:積水アクアシステム
項目詳細
会社名積水アクアシステム株式会社
住所大阪市北区大淀中1丁目1番30号
電話番号06-6440-2525
公式サイトhttps://www.sekisuia.co.jp/

2つ目におすすめの会社は、積水アクアシステム株式会社です。積水アクアシステム株式会社は約60年の歴史を持つ、積水化学グループのエンジニアリング会社になります。

積水化学グループの中で唯一、エンジニアリング部門とメーカー部門の両方の機能を有していることが特徴です。2つの部門の強みを活かすことによって、顧客の課題に対してトータルサポートしています。

また、積水アクアシステム株式会社では製品だけでなく、適切な凝集剤の選定もしてくれます。凝集剤まで見直すことで、汚泥処分費を大幅に削減可能です。

株式会社ヘリオス

出典元:株式会社ヘリオス
項目詳細
会社名株式会社ヘリオス
住所東京都品川区北品川3-6-9
電話番号03-5715-1541
公式サイトhttps://www.kk-helios.co.jp/

3つ目におすすめの会社は、株式会社ヘリオスです。株式会社ヘリオスは約40年の歴史を持ち、高性能な多重円板型脱水機を取り扱っています。

脱水機だけでなく、脱水処理周辺の解析を行うことで総合的なコスト削減を提案していることが特徴です。また、現地でのデモテストやレンタルサービスなども用意しています。

導入前に製品が扱う汚泥に適しているか判断できるため、ミスマッチを防いだ製品の導入が可能です。

まとめ

本記事では、汚泥含水率について解説しました。汚泥には決まった処理方法があり、汚泥の処理方法は、含水率によって大きく異なります。

そのため、汚泥に含まれる水分量を減らして重量を軽減することが、処理費用の削減につながるでしょう。今回解説した内容を参考に、汚泥の処理を検討してみてください。

本記事があなたのお役に立てることを願っております。

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